失敗の科学を読んだ
年末年始にいくつか本を読んでいたが、失敗の科学という本が面白かった。
内容的には、失敗をしたときにきちんとその失敗から学びましょうというものだが、実際に大きな失敗をすると人や組織はその失敗を隠してしまったり、失敗を仕方ないものとして学ぼうとしない傾向があり、その現象をクローズドループ現象と呼んでいる。
航空業界ではオープンループがうまく回っているが、医療業界はクローズドループになってしまっていることや、心理療法士はフィードバックをきちんともらえないから経験が当てにならないなどが書いてあって面白かった。
おもしろかった点をいくつかあげておく
- 努力が判断を鈍らせる
- 努力や労力をかけているほど、失敗したときにその失敗を受け入れることが難しく、解釈を変えて失敗したことを無かったことにしてしまう
- 進んで失敗する
- 仮説検証の際に、正しそうなルールばかりを検証するのではなく、あえて失敗しそうなルールでも検証することも大事
- これはすごく大事だなと感じた。仕事で分析をするとき、最初に仮説を立ててから分析を始めることが多いけど、どうしてもその仮説が正しいことを示すデータを探しがちな気がする。その仮説に反する分析もしなくちゃなと思った。あと、よくよく考えると統計的検定は帰無仮説を棄却しているのでまさにこの考えなんだなと思った。
- ボトムアップ式の試行錯誤の重要性
- 技術の実用化は「研究 + 科学理論 -> 新たなテクノロジー -> 実用化」というトップダウン式の流れと考えられがちだが、実際にはボトムアップ式の試行錯誤から実用化され、理論はあとからということも多い
- これはまさにDeep Learningとかがその流れだなと感じる。
- スケアード・ストレートプログラム
- 非行少年と刑務所に訪問させ怖い思いをさせることで更生させようとする施策。実際には効果はなく、逆に悪化させていた。こういうストーリー性のあるものに惑わされやすい。
- 何かのテレビ番組でこのプログラムの話を見た覚えがあって、調べたらいくつかやってるみたいだった。テレビではいかにも更生しましたという感じで放送されていたので、本を読んで効果がないことを知って少し驚いた。
- 脳は一番「直感的」な結論を出す
- 脳は一番単純で一番直感的な結論をだす傾向がある。航空事故の調査官は10件中9件は「操縦士のミス」だと考えるらしい。
- 自分にとって都合が良い、単純な結論を出しやすいのはそうだなと感じるので、気をつけたいなと思う。
失敗から学ぶという当たり前に思えそうなことでも実際にはなかなか難しいんだなと思った。
仕事でも気をつけてないといけないことが学べておもしろかった。
今日でブログ開設から10年らしい。あんまり記事は書いてないけど。