最近興味のある話題について、いくつか本を読んだのでその感想。
フォーカス
- 作者: ダニエル・ゴールマン,土屋京子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最近、人によって集中力が持続しやすい、しにくいみたいなのはどういう感じで決まるんだろうかとか、あっちこっちに集中力を使っていると疲れやすい気がするなとか、集中力について考えていたので読んでみた。結果としてはそういう情報は書いてなかったけど、いくつかおもしろい部分があった。
ひとつは集中力の分散について。なんとなく分散できるんじゃないかと思ってたけど勘違いだったみたいで、単に頑張って切り替えているだけらしい。たしかにそういわれるとそんな気はする。結構ショッキングなのは「しょっちゅう切り替えていると、一つのことに全面的な注意を注ぐ能力が落ちてくる。」という部分。ここ1年くらいしょっちゅう切り替えている自覚があるし、最近1つのことに集中しづらくなっている気もする。個人的にはもう少し1つのことに集中して成果を出したいと思ってるので、1つのことに注意を注ぐ能力が落ちないように気を付けないとなと思った。
もう一つ、注意をいろいろな対象に「分散」することが可能だと考える人もいるようだが、これも認知科学者に言わせれば、フィクションにすぎないようだ。注意というのは風船を膨らますように大きくして同時並行的に使えるものではなく、決まった細かいパイプラインを選択的に使うようなものらしい。注意を「分散」できるように見えるのは、実際には、パイプラインを素早く切り替えているのである。しょっちゅう切り替えていると、一つのことに全面的な注意を注ぐ能力が落ちてくる。
あともう一つおもしろかったのがポジティブとネガティブの比率の話。ポジティブ:ネガティブが2.9:1以上だといいらしい(高すぎると逆にダメ)。自分の比率がどのくらいかはあまり意識して考えたことないけど、どのくらいなんだろう。
何百ものビジネス・チームを分析した結果、最も優秀なチームはポジティブ感情とネガティブ感情の比率が二・九対一以上であることが分かった(ポジティブ感情にも上限があり、ロサダによれば、十一対一以上になるとチームは浮かれすぎて効率が落ちる。人間個人についても同様な比率が望ましい。
感情
- 作者: ディランエヴァンズ,Dylan Evans,遠藤利彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/12/22
- メディア: 単行本
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自然言語処理の感情分析とか興味あって、少し手を出してみたりしたけど、そもそも感情とはなんだろうというのを考えたことがあまりなかったので、読んでみた。
生得的な感情(喜び、怒りなど)と社会・文化的な影響がある感情があることや、人が感じる感情の種類数と感情を表す語彙数との間には関連がないことなどが書いてあって、おもしろかった。
僕たちはこれから何をつくっていくのだろう
- 作者: 箭内道彦
- 出版社/メーカー: 宣伝会議
- 発売日: 2013/04
- メディア: 単行本
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少し前に読んだ広告についての本。広告についての箭内さんの考え方や、バンドやラジオ、映像などいろいろやってきているけど、すべては広告のためにやっているというのはすごいなあと思う。
広告の話ではないけど、小田桐昭さんとの対談で出てきた故郷の話がおもしろかった。
小田桐 僕の故郷は電通なので、やはり責任感がないわけではない。電通人は日本の広告を良くすることに責任をもっています。だから若い人がたくさん入ってきてほしい。沸き立つような広告への情熱や光り輝くものを見てきたので、今も広告がそこに向かわないと自分ではとても嫌なんです。今だって、たくさん広告界への志望者はいます。なのにどうして広告の現実がこんなにみすぼらしくてつまらないんだろうって、電通に対していつも怒ってます。
箭内 「電通が故郷」ってしっくりきます。僕の故郷は博報堂です。故郷は決して土地のことだけじゃなく、大事な仲間や後輩がいて、志のある場所は故郷。広告も大きな意味では故郷ですね。
最初に社会を大きく感じた場所とか、自分自身が大きく成長できた場所が「故郷」になるのかな。それは人によって、最初に働いた会社であったり、所属するコミュニティだったり、インターネットだったりするんだと思う。じゃあ、自分にとっての故郷はどこなんだろうと考えてみたけど、今のところ「研究」になるんだろうか。今年でエンジニア5年目なので、あと1年で大学院で研究した年数と同じになると思うと、現状ではあまり故郷への貢献はできてないなぁと。
予想通りに不合理
予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/08/23
- メディア: 文庫
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あとは「無意識」についても気になっているので、関係ありそうなものとして読んでみた。
社会規範と市場規範の話がおもしろかった。お金の絡まない社会規範で成り立っていた話に少しでもお金が絡むと市場規範となってしまい、その後はなかなか社会規範が取り戻せないらしい。たしかにボランティアとか無償で行う行動に多少でも報酬が関わってくると取り組み方が変わってしまう気がする。
あともう一つお金関係でおもしろかったのが、冷蔵庫に現金を入れてもなくならないけど、コーラを入れておくとなくなるという話で、お金を持っていくのには抵抗があるけど、それと同等だけどモノになってしまうと後ろめたさが薄れるというのは確かにそんな気がする。おもしろいけど気を付けないとなと思う。
他には、自分の所有物を過大評価してしまうことや問題を先延ばしにしがちだとか書いてあった。
ここ最近関心のあるところの本をいくつか読んでみた。アルゴリズムを考えるときとかに還元できるといいなとは思うけど、できるかはわからない。