認知心理学の本を読んだ

最近、認知心理学について少し興味が出てきたのでいくつか読んでみた。


自然言語処理の研究をしていたけど、認知科学のことは勉強するタイミングなかったせいか、全然知らなかった。けど、言語処理してるんだから、認知科学のこと多少は知っておいてもよいのではという気になった。ただ、どれを読んだらいいかわからないのだけど、適当に探して読んでみた。

認知科学への招待

認知科学への招待

タイトル通り導入的な内容でわかりやすかった。フレーム理論やスクリプト理論とか、自然言語処理でも聞いたことがある内容が書いてあって、どうやって発展してきたのかがわかって面白かった。最後のほうにでてきた超情報場というのはちゃんと理解できなかった。

現代の認知心理学〈3〉思考と言語

現代の認知心理学〈3〉思考と言語

1つ目の本よりは学術的な内容の本。問題解決における思考やコネクショニストモデルに基づく言語理解について書かれていた。他には、空間表現(前後左右上下)の理解をどのようにしているかや、言語理解と身体化理論について(身体の動きと言葉が一致しているほうが認知が早い)も書かれていておもしろい。

文章理解の認知心理学:ことば・からだ・脳

文章理解の認知心理学:ことば・からだ・脳

2つ目と同様、学術的な内容の本。2つ目と一部重複してる内容もあるけど、より文章理解に特化したもの。読書量と語彙量の関連性や物語理解について共感しやすいほど物語の理解も早いらしいということが書いてあってなるほどと思った。


とりあえずいくつか読んでみたけど、認知科学が思っていた以上に工学的な印象があることに驚いた。もちろんそうでない部分もあるけど、結構コンピュータで実現できるかどうかも重要な要素っぽかった。まだ研究対象が単語や短文のものが多いので、長文、文章に対する研究も進んでいって欲しいと感じた。


あと、最近読んだWSDM(Web Search and Data Mining) 2015のSarcasm Detection on Twitter: A Behavioral Modeling Approachという論文がおもしろかった。Twitterから皮肉を見つける問題で、これまで言語的な手がかりのみを利用していたものに対して、心理行動科学?(psychological and behavioral sciences)からの知見を活かすことで性能を向上したというもの。あまりこういう論文を見たことなかったので、おもしろかった。言語処理系の学会にもこういう論文あるのかな。